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2017/09/18

人は抗い、生きている。

NHK
『末期がんの“看取(みと)り医師” 死までの450日』。

医師であり僧侶でもある田中雅博さん(当時69歳)は、今まで千人以上の終末期患者に穏やかな最期を導いてきた「看取りのスペシャリスト」と呼ばれた人。

そんな彼自身が末期のがんと診断され…そこからのありのままの450日を記録したドキュメンタリーだ。


「放送は全部が終わってから…私の葬式が終わった後とかでいいんじゃない?」
「全部撮っていいから。」

田中氏とスタッフによる序盤の入念な打ち合わせや意思疎通にしたがい、撮影は密着して行われた。

刻一刻と病魔に侵されてゆく姿
周囲の人の涙
本人の亡骸
火葬場での遺骨

「これ流していいの?」というテレビの常識を覆すような、人生の最期に際した衝撃的な画はたくさんあった。


でもそれらよりも何よりも衝撃的で心を打ちつけられたのは、他人に穏やかな死を説いてきた人も、いざ自分の、そして身近な人の(ここでは同じく医師であり僧侶であった奥さんの立場)死を前にしたら、決して同じように受け止められはしないということだった。

色々なものがコントロールできなくなり、痛みに襲われ、朦朧とする中、何かに何かを懇願し続ける姿
「なんであの時できなかったのだろう」「もっとこうすればよかったのに」と、いつまでも後悔し苦悩する姿
泣き崩れ、動けない姿

それがあの田中さん夫婦でも起こる、ということに衝撃を受けたのだ。


死はやはり平等で、同時にその大きな痛みや深い苦しみ悲しみも平等なのだ。

死はやはり絶対だけれども、そのまま迎え入れられるものではない、絶対に抗ってしまうものなのだ。
イヤ、それに抗うことが生きているということなのかもしれない。


だから今、「死ぬことなんて怖くない」とか「絶対的なものだから受け入れられる」なんて言っている人も、それが差し迫った時には絶対そうはいられないと思う。

「理想の死」や「正しいターミナルケア」なんてものも存在しないのだろう。


とにかく色々と考えされられた。

被写対象と撮る側の信頼関係。
そしてその覚悟。

とてもいい番組だった。

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