女子プロレス「スターダム」は25日、都内のゼロワン道場で緊急会見を開き、22日の後楽園ホール大会で起こった世IV虎(よしこ=21)対安川惡斗(あくと=28)の凄惨マッチについての声明を発表した。
会見には世IV虎とロッシー小川社長のほか、風香GM、所属選手が出席。会見冒頭で小川社長、風香GM、世IV虎、高橋奈苗、木村響子の5人が頭を下げた。
小川社長は「プロレスの範ちゅうを逸脱した行為が起き、安川惡斗選手が重傷を負いました。ご迷惑とご心配をおかけしたことを深くおわびいたします。申し訳ありませんでした」と陳謝し、世IV虎にワールド・オブ・スターダム王座の剥奪と、無期限の出場停止処分を下したことを明らかにした。また、世IV虎のTKO勝ちとされた裁定もノーコンテストに変更された。
さらに小川社長と風香GM、最年長選手の高橋奈苗が3か月間、30%減給を科されることになった。
黒のスーツ姿で会見に出席した世IV虎は、目に涙を浮かべながら「このたびは、ケガをさせてしまった安川惡斗選手、選手のみなさん、プロレス界のみなさん、本当に申し訳ありませんでした」と謝罪した。
また手術のため入院中の安川は頬と鼻、左眼窩底の骨折を負ったことが発表され、両目の網膜浸盪症(しんとうしょう)と診断も下されたという。(後略)
(15.2.25『東スポWeb』)
プロレスが「エンターテイメント」と「格闘技」という言葉を併せて標榜している以上、このような事態におちいる可能性・リングに立つ人間の感情が必要以上に爆発してしまう危険性というのは常にはらんでいる。
業界の歴史的にもそのような、
“不穏試合”
“ケンカマッチ”
“制裁マッチ”
というのは多々あった。
ただそんな時でもそこには、当事者同士の拮抗した技量があったり、一抹の良心が発生したり、団体や先輩レスラーからの厳しい教育があったり、それにイチ早く気づいた第三者の介入があったりと、様々な事象により事態は最小限にとどめられていたように思う。
しかし今回の場合は、全てがいたらな過ぎた…。
そしてメインイベントで、タイトルマッチで、ここまで一方的に、ここまでヒドいケガになるまでの惨事になってしまったことは、非常に問題だと思う。
これはもちろん当事者だけでなく、レフリー、セコンド、そして団体、全ての問題。
もちろんイチバン悪いのは世IV虎。
プロレスラーは常に客席を見ていて、オーディエンスの求めるファイトをするもの。
対戦相手を全て受け止めて、その上で相手をさらに上回り、勝者となるべきもの。
相手に恨みがあったのか、団体に恨みがあったのか、プレッシャーに負けたのかはわからないが、自分の感情だけで一方的な試合をしてしまったことはあまりに未熟過ぎた。
全て受け止めようと思ったのか、意識が飛んでしまったのか、技術的にも精神的にも対応できなかったのか、安川惡斗。
反則を過度にくり返す選手を・試合を、止められなかったレフリー。
仲間がやっていて、仲間がやられていて、危険な状態なのに、何が何でも止めようと出られなかったセコンド陣。
プロレスとはどういうものかを教えられなかった先輩レスラー。
そして何より、選手を教育できなかった、そんな未熟な選手をメインに据えてしまった団体。
全てが悪いと思う。
ただ、人生と人生のぶつかり合いがプロレスだから、リング上で行われたこの件を、
「これはプロレスじゃない」
と突き放すこともできない。
もちろん、業界の恥部だし、人には見せるべきではない、イチバンダメなプロレスだけれども…。
事実解明や処分をしっかりしろという思いもあるが、上記のような理由から、タネアカシのように、
「あいつはホントは弱かった」
なんて言ったり、
当事者以外が事件を拡げるようなことはして欲しくない。
今後関係者には、できるところまでプロレスラーらしく、真摯にファンの方を見て、これからの対応を考えてもらいたい。
イチバン腹立たしいのはセミファイナルで行われた感動劇、はたまた同日違う会場で行われた素晴らしい試合、それらがこのようなニュースで消されてしまうことだ。
「プロレス人気再燃」と言われていることにも水を差しかねない。
何より先日行われた女子プロレスの試合、遺恨満載で感情的になりながらも、素晴らしいプロレスをみせてくれた紫雷美央・紫雷イオの顔に泥を塗ったように感じてしまう。
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