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2009/06/18

ありがとう三沢光晴

訃報から数日経つが、全く実感がない。

しかしハヤブサのブログ記事には涙が出そうになった。


他にもこの一連のニュースで改めて、人間・三沢光晴像が様々なところで語られているが、“エロ社長”ーバカもやれて、でも肝心なところでは不言実行。
自身の背中で周りを引っ張って行く、自分への厳しさと仲間への情の厚さ、そして広い度量を持った、誰しもが惚れるような素晴らしい人間であった。

魑魅魍魎のひしめくプロレス界で、常識を持った、確かな盟主だったと改めて実感した。


レスラーとしても同様だ。

私がプロレスで“凄み”を感じていた2人の男が、橋本真也と三沢光晴。

言わずと知れた破壊王には、文字通り“責めの凄み”。
そして三沢に感じていたのは、もちろん“受けの凄み”。


いわゆる「四天王プロレス」は長いプロレスの歴史の中でも、時代・政治的背景・そして彼らの肉体的ピーク・精神的成熟など全てのタイミングが合致して奇跡の上に成り立った、プロレスの頂点の1つのカタチだったと今でも思う。

股がみの深い、闘魂三銃士と比べるとお世辞にもかっこいいとは言えないコスチュームをまとい、多くを語らずリング上だけで全てを表現し、極限まで自らを追い込む彼らの姿は修行者・聖者のようであった。


特に三沢は対世間…斜に見られがちなプロレスを、自身の戦いを純化させ、他の誰にもマネできない激しいものにすることによって、世間に認めさせようとしていた。

総合格闘技やK-1が興行的にも猛威をふるい、プロレスファンとして自信がなくなりかけた時に、唯一胸を張れる状況をつくっていてくれたのが三沢だった。

「じゃあアレを、マネできるの?」
この一言でいいのだから。


私が覚えている名勝負は、
試合中のアクシデントで助骨を折りながらも三冠を防衛したハンセン戦。
解説席にいた馬場さんが涙を流したという98年ベストバウトの小橋戦。
全日本東京ドーム初進出の大会で壮絶なメインを飾った川田戦。

見ているだけでも言葉を失うような強烈な技を、受けても、受けても、何度も立ち上がり、エルボーを打ち込むその姿、どれもが素晴らしかった。
そしてそこにプロレスの凄みと、強さを感じていた。
「受けの天才三沢は、不死身。」そう思っていた。


“プロレス界冬の10年”の入口といわれる、あの橋本真也×小川直也の一戦。
純粋にプロレスを見ていた私も例に洩れず大きな大きなショックを受けた。

この一戦を録画したビデオはそのままで、直視することができなかった。
そしてその後の大仁田×長州の電流爆破や、新日本のゴタゴタ、橋本の復帰→まさかの小川とのタッグ結成なども相まって、プロレスの強さがわからなくなり、プロレスから遠ざかった時期があった。


しかしそれから数年後、再びプロレスに対する熱をもたらしてくれたのは、三沢だった。

ZERO-ONEで実現した小川との初遭遇。
あの小川のタックルをさらりといなした三沢の姿に、プロレスに対しての思いが氷解した。

三沢はやっぱり凄かった!
プロレスはやっぱり強かった!
あの時、震えるほど感動し、同時に感謝したのだった。


数々の猛者を退け、そして川田やウィリアムス、数々の強烈なバックドロップを食らっても立ち上がり続けた三沢が、亡くなるなんて信じられない。
選手の多くが口にするように、あれは受け身を取り損なった・取れなかったのではなく、ダメージの蓄積によるものなのだろう。
近年の彼のコンディションの悪さは、ファンだって知っている。

だからなおさら、防げなかったことが悔しい。

顔として、トップレスラーとして、社長業もありながらリングに上がり続けなければいけない責任感。

でも少しの間だけでも、休息の時はつくれなかったのか…!

もちろん連戦に耐えうる強靱な肉体と精神力を持ち合わせているのがレスラーだけれども、不死身ではなかったのだ。


こんな悲しいことは二度と起こって欲しくない。
選手のケアや体調監理…いやもっと大切なのは、三沢に並ぶスターの登場、それが団体の使命だ。


日本中を駆け巡ったこの大きなニュースは、三沢が最後にくれたプロレス界へのチャンス。

彼が命を賭して世間に証明したプロレスの凄み、強さ。

今こそこの上に、ネガティブなものではなく、「プロレスは素晴らしいものなんだ!」ということを発信すべきだと思うのだ。


プロレスを盛り上げること。
それが故人に報いること。

「ぶっちゃけ死んじゃったことはアレだけども…みんなにはまぁこれをチャンスと思ってがんばってもらうしかないよ、ね。」

きっと三沢は空の上で少し後悔しながらも、きっと彰俊や潮崎のことを心配しながら見下ろしていることだろうから。


ありがとう三沢光晴!

プロレスファンでいて、三沢と同じ時代を共有できて、本当によかった。

そしてこれからもプロレスファンでいようと思う。
彼の思いを継いだ全てのレスラーを応援しようと思う。

『理想主義者』

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コメント

お久しぶりです。ブログ再開されてたようでよかったです…。
思えばあの大きな衝撃から4ヶ月以上経ち、選手・ファンも前を向いて歩んでいるプロレス界。だからこそ、かんげさんの「ネガティブなものではなく…」の記述には強く同意したいです!
三沢光晴がいたからこそ、プロレスを誇れることが出来たのは確かですね…。そしてその強き意志が”在る”限りは自分も、プロレスを見続けます!

投稿: ばーにんぐK | 2009/11/09 00:31

ばーにんぐKさま、こんばんはっ。
すっかりご無沙汰しておりました!

今年はホント色々ありました…プロレス界も…
でも今は、その悲しみを乗り越えて、業界が前を向いていると思います!
私も改めてプロレスのことを考えて、プロレスが好きでよかったと、これからも好きであると、重ね重ね思いました。

そして今こそ!また日本中が今年1年を振り返って、三沢光晴のことを思う時に、彼のすごさと、プロレスの素晴らしさを発信できたらなと思います。

投稿: かんげ | 2009/11/14 04:18

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