幻の温泉郷へ(つづき)
パシャパシャ。
写真パシャパシャ。
大前駅到着から20分後。
乗ってきた電車で折り返して、目的地の川原湯温泉駅へ。
駅舎が木造で素晴らしかった。
お世話になった宿は山木館。
露天も内湯もあるおフロ(もちろん温泉)に、ボリュームたっぷりのご飯。
朝ご飯のお赤飯が格別においしかった。
久しぶりの畳、古くからの日本家屋にのんびり。
宿ではムササビの餌付けもしていて、夜、巣穴から顔を出す姿を見ることができた。
川原湯のお湯は少し硫黄の匂いがし、草津ほどではないが温度が高く刺激が強い。
街の3つの共同浴場のうちの“聖天様露天風呂”は特に熱め。
しかし高台にあって絶景!
涼みついでに思わず裸のまま仁王立ちしたくなる(というかした)。
源頼朝が発見したと伝えられるため、源氏の紋所が掲げられている“王湯”は、管理が行き届いていてとても居心地のいいところだった。
豊富ないいお湯があって、すぐ近くには吾妻渓谷があり空気も景色もいい。
そして駅からも近い。
いい条件が揃っているなと思った。
しかしそんな川原湯温泉、首都圏の水資源確保と利根川の氾濫防止として建設される八ッ場ダムの完成により、数年後に水没してしまうという。
その話を聞いてから、ずっとここに来てみたいと思っていたのだ。
温泉街入口のゲートをくぐった光景は、確かに寂しかった。
数軒の旅館と、3軒の共同浴場。
酒屋・お土産屋・飲食店はそれぞれ1軒ずつ。
「店じまいのお知らせ」が貼り出されたお店が目立っていた。
周りの山々からは絶えず工事の音が聞こえ、遠くには我々を見下ろすかのように、恐ろしいほど大きな橋桁が建設されていた。
50年に渡るダム闘争で街は疲弊し、かつては300戸以上あった家々も今では20数件になってしまったそうだ。
自分の故郷がダムの中に沈む…故郷を捨てざるを得ない…その切なさは想像できないほど。
街全体の切ない・末期的な雰囲気が、ピリピリ心を痛くさせた。
でもここに残った人々は前向きだった。
温泉街はここより高い場所の代替地に移動し、お湯を引き、川原湯温泉の名前は残る。
ゆっくりとだが、すでに引っ越しがはじまっているそうだ。
地元に工場を構える「豊田乳業」のお母さんや、温泉街入ってすぐのお土産屋さん「売店お福」のお母さんにとてもよくしてもらい、お話をさせてもらったのだが、寂しさ悔しさはもちろんあるけれども、新しい土地でもがんばろうという気概も語ってくれた。
お湯以上に、よい人に触れて…
まだまだこれから!川原湯温泉、心からがんばってもらいたいと思った。
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