寂しい週末(のんびり)
下りの特急あずさが八王子を過ぎると、外の町並みにたくさんの“干し柿”が見受けられるようになる。
真っ青の空と、軒先に吊るされたばかりのオレンジ色とのコントラストが美しかった。
と、いうわけで晩秋。
山梨突入ー!
お休みの日に、とにかくゆっくりしようと、山梨県は下部温泉郷に向かった。
下部は父親の実家のすぐ近く。
なので子供の頃…20数年前にはよく行っていて、その頃から「寂しい場所だなぁ」と感じていた覚えがあったのだ。
“信玄の隠し湯”と呼ばれるだけあって、下部の町は谷間にひっそりとあり、午後になると陽がすっかり当たらなくなる。
とにかく寒い!
街を歩いてみると、閉店してそのまま、朽ちかけている居酒屋やお土産屋、スナックなどが目に付く。
やはり幼少時代感じた通りの寂しい場所で…いやそれは昔よりも顕著になっているように思われた。
何というかかつての温泉ブームや、ここ最近の熱海の隆盛などに代表される都心近場への旅行が人気を見せている中で、ここだけは本当に忘れられた温泉・置き去りにされた温泉といったカンジなのだ。
だけれども、それがすごく郷愁をくすぐられた。
静かにゆったり週末を過ごしたい人とか、自分を見つめ直してしんみりしたい人とか、廃虚マニアとか、そういう人が行けばすごくいいのかもしれない。
寒さに震えながら、小さな街をグルグル歩いてみる。
駅すぐ近くの湯之奥金山博物館。
ここの公園にあるアスレチック遊具が懐かしかった。
子供の頃遊んだ当時ピッカピカだったはずの帆船は、すっかり老朽ちていた。
丘の上にある熊野神社は荒れていて、絵馬が1つだけ寒風に揺れていた。
この神社のすぐ近くに、ソリで滑る大きなすべり台(通称グリーンジャンボ)があった。
誰も遊ばず落ち葉の積もったソリをキレイにして、滑ってみると…思った以上にスピードが出て、おもしろい!
誰もいない山間、川の音しか聞こえない中に、私の滑るソリの音が響く…。
下部温泉に行ったら、“グリーンジャンボ”。オススメだ。
お世話になった宿は、
“ホテル涌仙閣”。
町並みとは異なりキレイなお宿。
ご飯もおいしいし、貸切りの露天風呂もあるし、宿の人もいい人だった。
お客さんもたくさんいたはずなのだけれども、なぜかあまりバッティングせず、おフロに行った時も誰もいなくて下部特有のぬる湯にずーっとつかっていた。
オオサンショウオのマネを練習したり、5時に街中に流れた『ふるさと』の鐘の音に合わせて本気で歌ってみたり…のびのび。
ご飯をいただいてからも特にすることなく、ゴロゴロし…23時には消灯。
すごい!何というのんびり具合だ!
しかし布団の中では、「もし自分がこの町の観光協会の人間だったら何から変えていこうか。」とずっと考えていた。
この独特の寂しさが無くなるのは寂しいけれど、出会った人は少ないながらもいい人が多かったし、いい場所もあったし、このままなのもそれはそれで寂しいと思い直したのだ。
と、いうわけで、がんばれ下部温泉。
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