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2007/07/10

信頼

 京都市中京区の旅館「石長松菊園」(石井雅之社長)が、京都の名水の1つ「染井」と偽って水道水を宿泊客に提供していたことが7日、分かった。
 旅館の中村宏支配人(70)によると、3、4年前に同市上京区の京都御苑脇にある梨木神社の井戸から染井の水をくみ、旅館の2カ所の風呂場脱衣所に設置した冷水器に入れた。
 だが「時間がかかり、井戸に並んでいる人に申し訳ない」と、間もなくくむのをやめ、冷水器には水道水を使った。冷水器の上には「染井のおいしい水」と表示した紙を張ったままだったという。今年4月に旅館内で「不当表示に当たる」と声が上がり、撤去した。
 今月京都市が立ち入り調査、旅館側は事実を認めた。
 中村支配人は「名水で評判が出ればいい、と甘えがあった」と謝罪している。(07・7・7『nikkansports.com』

先日友人と居酒屋で日本酒を飲み比べしていて、
「あぁ違うね~コッチの方が飲み口が軽やかで…。」
なんて知ったかぶりな会話をしている時に、ふと思った。

「もしかしたらこの2つのとっくりには実は同じ銘柄が入っていて、店の奥では主人が、無知な私達のことを嘲笑しているのでは…。」
などと。


我々消費者の舌などたかが知れていると思う。
“おいしいもの”なんていう基準は元々主観的であいまいなものであり、“本物”だって見分けられるかどうか。
それなのに、いやだからなのか、私達は無防備に、食を他人に委ねている。

牛肉偽装社長が、「買う方も悪い。」と言ったそうだが、この人の言葉でなければ、確かにそれも一理あると思うのだ。


だからといって上記のニュースのようなことが許されないのは、日本の食文化は食を提供する側の美学というか節度というか…彼らの職人気質と、それに対する信頼でずっと成り立ってきているからだ。
コンプライアンスだとかそんな言葉が出てくるずっと昔から、そうだったのだ。

農家の人は誇りを持って作物を育て、
漁師は誇りを持って魚を獲り、
食材の加工メーカーは誇りを持って製品をつくり、
料理人や主婦は誇りを持って厨房に立ち、

それを我々は信頼して口にさせてもらってきた。


各々がそれぞれ最高の仕事をしているから、規制や義務など無くても結果的に私達は最高のものを口にすることができる。
これは素晴らしい文化だと思う。

そしてこれがすごく幸せなことだったのだと、昨今の歪んだ食を経験して、気付かされてしまった。


この意識に反する、今までではありえないような行為は、明らかに悪であり…私は消費者という依存した立場ながら、何か根本的に日本文化とは異なる、いや人として異なる考えを持った非道の者が出てきたような感じがして、恐ろしく思う。

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コメント

うーーーん!!!
かんげさんに一票!!
まったくもってその通りだと思います。

投稿: まんちゃん | 2007/07/12 17:13

まんちゃんさま、こんばんは。

私は“食べるだけ”に特化しているので、偉そうに言えた口ではないのですが…それでもやっぱりおかしい気がします。

人間忘れやすい生き物で、しばらくすればここのところの不信感も薄れていくとは思いますが、またその時期になると新しい事件が起きたりして…進歩なく我々は生きて行くのでしょうかね。

投稿: かんげ | 2007/07/13 17:43

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