残されたランドマーク、消失
渋谷区は6月27日、桜丘町の旧大和田小学校の跡地に、教育センターや健康センター、中小のホールなどで構成される大型複合施設を開設すると発表した。
総工費は約120億円で、約5,000平米の敷地に、地上13階(地下3階)のオフィス棟と、地上1階(地下3階)のホール棟を建設する。オフィス棟には、教育センター、こどもども科学センター、図書館、健康センター、渋谷区医師会館、渋谷区医師会付属看護学校、介護予防センター、ケアコミュニティ施設、保育園が開設されるほか、公益的用途利用フロア(最大5,600平米)も設ける。また、ホール棟には、舞台、オーケストラピット、楽屋等を備えたクラシック音楽中心の中ホール(800席)や、舞台、花道、迫り等を備えた伝統芸能対応の小ホール(400席)を開設するほか、最上階にはプラネタリウムを新設する。渋谷区では、五島プラネタリウム(2001年3月閉館)で使われていたカールツァイス製のプラネタリウムや資料などの寄贈を受け、同小学校内に保存しており、新設するプラネタリウムではこれらの活用を図る予定。ドームの直径は約16メートルで、扇形に配列された客席定員は100〜150席を予定している。想定面積は550平米。
同施設開設までのスケジュールは、2005年度中に設計事業者の選定を行い、2006年度に解体・建設工事に着手し、2007年の開設を目指す。同小学校は、統廃合により1997年3月に廃校となり、図書室やプールなどの施設開放を行ってきたほか、1999年からは「ケアコミュニティ・桜が丘」として、地域コミュニティの拠点として使われてきた。(05・6・28『シブヤ経済新聞』)
渋谷桜丘のランドマークといえば、“インフォスタワー”でも“楽器のKEY”でもなく、やはり“大和田小学校”なのである。
かつての地名を唯一残す歴史ある小学校は、廃校になってからもかろうじてその姿を残し、図書館・体育館として地域住民と共にそこにあり続けた。
若かりし頃上京してすぐに暮らしたところが桜丘であったという、御年80を迎える我が家の祖母が、私に発した言葉が、
「大和田小学校は、まだあるのかね?」
であったことからも、それはうかがえる。
今この地で働く私との、唯一の共通の話題だ。
そんな大和田小学校が、東京都の「都市再生緊急整備地域及び地域整備方針」という理解し難いお決まりにより、あっさりと取り壊されてしまうのは、なんとなく哀しい。
渋谷でありながら泥臭く、しかし穏やかで、季節感もある住み良いここは、できればその時間の流れをこれ以上壊さずにしておいてもらいたい場所である。
上記の指針の、“緊急”という言葉に無性に焦燥感を駆り立てられる。
これは誰が、誰のために、何のために、急いでいるのだろう。
先週末をもって閉鎖された、そんな大和田図書館の前で、考えていた。
(〈トラックバック〉●「旧大和田小跡地に大型複合施設−プラネタリウムも」→05・6・28『シブヤ経済新聞』)
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