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2006/09/28

若者は苦悩する。

「なかなかオトナになれねーなー。」

「てか変わる気がない?昔のまま。社会性なし。」

「まだ描いてたんだねー、絵。」

「中途ハンパだ…」

「こんな毎日から抜け出して、もう一度…」

「27にもなってそんなことしてるから、売れない絵描きのままなんだろ、アイツは。」

「俺は俺だから俺の生き方でしか生きられない。」

「変わらなきゃ。」

「下水道以下、発見!!」

「俺は本当に…サイテーだ。」

「…都合よくね?」

「やっぱ、変わってないね。」

もがき苦しむ若者達…ここでいう“若者”とは、10代や20代前半くらいのまだ幼い、限られた経験と見識で日々を流している人達のことではない。
そこから少しだけ成長し、様々な関係をそれなりに経験しだし、ようやく1人の成人として考え、歩み出したばかりの、“若者”のことである。


6年ぶりの大学の同窓会から、物語は始まる。

生活、人間関係、仕事、恋愛…ある程度の経験を重ねることによりようやく見えてきた自分と、ようやく見えてきた周りを見比べて、自己の存在を確かめ、そして若者は苦しむ。
特に、現代アートの芸術家を目指す主人公は、ここで6年前の自分と6年前の友人達に出会い、そして苦悩が始まるのだ。

しかしそれは、主人公だけではなく…若者達の集まるそこには、互いに対する劣等感・優越感や虚勢、忘れえぬ愛情や焦燥など、様々な感情が渦巻いていて、それぞれが様々な気持を抱えながら、また明日から歩いて行く…。


『週刊ビッグコミックスピリッツ』連載中、信濃川日出雄『fine.』(ファイン)は、そんな“若者達”のリアルな声が、聞こえてくるようなマンガである。
理想と現実に悩む若者達の姿…ありがちではあるけれども、それがアーティストやデザイナーの世界という、一風変わったアプローチから描かれている。

売れない絵描きの主人公がサラリーマンデザイナーの友人に焦りや劣等感を感じる一方で、同様にその友人もまた主人公に、複雑な気持を抱いている。
このように様々な人間の様々な感情が絡み合って進んで行く、話題性は無いが心に響く、秀逸なドラマを見ているようだ。


何かにつけて人は定義をしなければ済まない生き物である。
特に自分の立場を、周りと見比べて確認し、そして安心したり、不安になったり。

「自分は、こうでなきゃいけないんだ!」
「自分は、こうしなきゃいけないんだ!」

こだわりや信念なんてものは、結局は自己満足である。
自分の存在意義に対して悩み続けることなんて余計なことで、自分が定まっていない、青く、まだまだ未熟な証明なのである。


「オレはもっと、仕事ができなくちゃいけないんだ!」
「私はもっと、かわいくなきゃいけないの!」
「もっと自分らしく生きなきゃ!生きなきゃ!」

…だーれが決めたの?
それは何のために?
まだ自分に自信が持てていないの?
君以上の人も、以下の人も、まだまだたくさんいるのに?
君の代わりなんて、いくらでもいるのに?
どこ見て決めたの?その自分の着地点。
その見てるところ、妥協点なんじゃないの?
そろそろ自分の限界に、気付いた方がいいんじゃない?
周りばっか見て…そもそもその行為が、自分の未熟さを証明してるんじゃない?


だけれども、人と、周りと、関わり合ってしまっている以上、その発生は必然で…しかしそれが時として・往々にして、大きな障害になってしまう。
人間ってのは、やはり弱い生き物なのだ。

私も同様で、そしてこうして自分を戒める。
無論私も、弱い人間だから(特に)。

(〈トラックバック〉●「信濃川日出雄 fine /第22話 本物なら」→06・7・26『本の海のアストロラーベ』
●「fine」→06・7・11『Milano Diary』
●「信濃川日出雄/fine.」→06・7・2『マンガ一巻読破』

信濃川日出雄『fine.』

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「アニメ・コミック」カテゴリの記事

コメント

かんげさん、オヤジだってまだ苦悩してますよ。もがき苦しんだりしちゃったりして・・・でも40歳っていったら「不惑」ですよねぇ。惑いっぱなしってのも情けないもんです。
でも、答えや考え方を1つだと決め込んでしまうと、最初はよくてもそのうち柔軟性が消えて、なにも考えられない人間になってしまいそうで。
バランスよく苦悩していきたいものです?!

投稿: 新橋オヤジ | 2006/10/02 23:08

新橋オヤジさま、こんばんは~。

やっぱり苦悩はいくつになっても…なんですね…。

でも、そうですよね。
若者のうちも視野が狭いけれど、ある程度大人になり過ぎちゃうとまた、頭が固くなって視野が狭くなっちゃうんですよね…。

そんな中での“大人の悩み”は、たくさんの選択肢の中から正解を捜し求める、柔軟なものだと思います。
やっぱ何でもほどほどに、悩むことも大事なのかぁ~。

勉強になりましたス!

投稿: かんげ | 2006/10/03 20:25

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