○〈第6試合〉永田×村上
ビッグマウス軍団がたくさんののぼりを掲げて登場。
しかしそこに書いてあった文字は…
「前田日明」
「上井文彦」
…ビッグマウスもそう長く無いな…。
嶋大輔と共に登場した永田のテーマ曲を聞くと、大みそかを思い出し同時に、苦労人永田のレスラー人生が走馬灯のように頭の中をかけめぐり、涙が出そうになる。
アマレス三銃士、WCW時代、G1初制覇、秋山との戦い、IWGP防衛、大みそか、踏み台発言、そして前田日明…ウルウル…ずっとこのテーマ曲を使い続けて欲しい。
そして安定感ある永田の試合運び…今新日本でNo.1は、彼なのではないだろうか。貴重な存在だ。
対する村上のやられっぷりも、あっぱれ。
あんなにやられ役が似合う人材はいないと思う。
白目剥いて、アンダーテイカーみたいだしね…。
プロレスの試合としても、新日本らしい試合としても、しっかりと成立した、いい試合だった。
○〈第7試合〉金本×大谷
懐かしいテーマ曲で金本が登場。
しかしジュニアとヘビーの差は大きかった。
大谷が新日本のリングで試合をするのは何年ぶりなのだろう。
しかしながら大谷に「おかえり!」という気になれなかった。
大谷のレスラーとしての“格”も、まだあの世代間で言うところの小島はおろか、永田や天山にも及んでいない気がするのだ。
橋本真也が亡くなって、ZERO-1を率いるようになってからまだ数ヶ月。
まだ団体自体も軌道に乗っていないような気がするし、まだ少し早過ぎたようなカムバックであった。
○〈第8試合〉タナ×柴田
途中、前田×藤波を思い出したけれども…柴田、最後まで蹴りだけ?
レスリングの幅の狭さを感じてガッカリした。
受けもさほど巧くないし、秋山戦をはじめ、相手に光らせてもらうレスラーなんだと思った。
2人は新三銃士から袂を分けてから、何年だろうか。
いや、何ヵ月?
お互いレスラーとして発展途上。
まだ再会するには早過ぎたように思う。
○〈第9試合〉ニシオ×バーナード
“初モノガイジン”といえば、中西。
そして負ける。
中西は、「さんまのからくりテレビ」効果で、もっとテレビ露出が増えればいいなと思う。
あの世代は実力以上に、知名度が足りない!
○〈セミファイナル〉蝶天×越中大森
全くもって魅力の無いチャレンジャーチーム。
それはお客さん全てが感じていたようで、
「蝶天負けたらシャレにならないよなぁー。」
といった会場の雰囲気。
それだけにフィニッシュ前の越中のスクールボーイ(だったかな)で、蝶野が「あわや」の場面は、相手が越中だけに場内から、
「まっ…まさかぁぁぁ!」
と悲鳴が上がった。
今興行中、最も盛り上がった場面ではないだろうか。
チャレンジャー2人が張り切っていたためか、いい試合だった。
フィニッシュになった蝶野のシャイニングケンカキックは、もっと精度が高まれば、ずいぶん説得力のある決め技になると思うのだけれど…最近イマイチ当たりが悪い。
あっ、G1の時はよかった、よかった。
○〈メイン前〉サイモン社長挨拶→猪木劇場
猪木の登場に、反射的に大歓声を上げてしまう悲しき新日本ファン…。
おなじみ「元気ですかっ!」から、浅草に鎮守されたという“闘魂神社”の宣伝、そして「猪木という名の傘から、飛び立て新日本!」という詩(?)、そして「ダーッ!」という一連の猪木劇場。
○〈メイン〉レスナー×中邑
「見てやろう、アメリカトップの実力を!」
と勇んで見たレスナーは、やはりパワー・スピードに溢れた、素晴らしいレスラーであった。
ただ1つ、足りないのは、人気だけ。
ゴングが鳴るや否や次々と席を立ち、会場を後にするお客さん。
ベルト授与式が終わり、高々とベルトを掲げアピールしても、ほとんどのお客さんが背中を向け帰路に着いている…すごく哀しい光景であった。
「レスナーを見に、プロレス行く!」
なんていう人は、まだプロレスマニアしかいない。
実力は申し分無い。
地方巡業をも廻り、彼が日本のプロレスに骨を埋める覚悟であることを示し、ファンがそれに理解を示した時、IWGPの“絶対王者”として存在し得るレスラーだと思った。
「プロレス部門」レスナーと、「格闘技部門」ジョシュのニ枚看板で行けば、新日本は安泰だと思うのだけれども…どうだろう。
“時期尚早”、この言葉がピッタリのカード編成であった。
金本×大谷も、棚橋×柴田も、レスナー×中邑も、後数年寝かせれば、もっともっといい試合になったであろうものばかり。
レスラーをもっと大切に思っていれば、もっとカードも変わっていたと思う。
お客さんも、もっと熱くなれたに違いない。
十数年続いた、“1・4新日ドーム”も、どうやら今大会で幕を下ろすらしい。
新日本はまだまだ変われる…いや変わらなければいけない要素が、十分にある、そう思った。
(〈トラックバック〉●「ちょい遅観戦記(1・4東京ドーム大会) <from こい>」→06・1・6『越境者』
●「新日本東京ドーム観戦記」→06・1・5『萬屋日記』
●「最後の新日東京ドーム」→06・1・5『ヘルズ・ガーデン』)

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