高校の部活動時代からずっと仲良くしていただいているノブ先輩が、この度めでたくご結婚。
地元のフレンチレストランで式&披露宴にご招待いただいた。
めでてぇー!こりゃめでてぇな!!
しかし私の友人知人関係でのこのようなおめでたい知らせは、何十年生きてきて初めてのこと。
そう。準備が必要なのだ。
まずは“筆ペンで己の名前を書く練習”!
私の字はすごくクセ字だ。
直筆の書類を見て
「女の子かと思った!」
と言われたこともある。
普段は特に困らないけれど、こういう時は大いに困るのである。
そういえば確か、大學生の頃に書を学んだことがあったような…忘れた。何もかも忘れた。
次は“テーブルマナーのお勉強”!
コンビニとラーメン屋と居酒屋を主体とした私のフードライフに、フレンチの文字は一寸も無かった。
「えーっと順番は…オードブル、サラダ…ポワソンって何?お通しは出るんですか?」
…知らない。何もかも知らない。
とまぁ、恥ずかしい思いをすることのないように、下準備という名の悪あがきは進んだのであった。
(ここだけの話)お祝い金も同期内で密に連絡をとり揃えたし…準備万端なのである!
当日。
勇んで出かけると受付の記帳台にはボールペンが、披露宴のテーブルにはナイフとフォークの他におハシが用意してあった。
私の悪あがきは新郎にはバレバレであった…優しいな、先輩。
式前の待合室では、私も含め同期みんなで、まるで自分のことのように緊張していた。
初めてのことばかり、というのもあったけれど、お世話になっている特別な人のハレの舞台。
他人事とは思えず、震える手でコーヒーを飲んでいたのだった。
親族とごく近しい友人だけの式&披露宴は、何のしがらみも無い、シンプルで、そして純粋な空間だった。
穏やかで、優しい、新郎新婦の人柄がよく表れ、2人のその幸せの空気を吸わせてもらい体内を浄化させてもらったような、そんないい時間であった。
いつしか緊張も、その空気と、お酒と、私たち以上に強ばった面持ちの先輩の姿のおかげか無くなっていた。
結婚式では“ブーケキャッチ”という風習がある。
花嫁から未婚女性への幸せのバトンタッチであるが、今回はその“男性版”もその後慎ましく行われた。
新郎新婦の前に立つ、私を含めたさえない独身男性7人。
新郎新婦の持つ男性用の小さなブーケからも、リボンが7本。
そのどれか1つが切れていない“当たり”、である。
写真撮影に夢中だった私は最後に残った1本のリボンを手にしたのだけれど…すごくそのリボンが目の前のブーケにつながっているような気がした。
なんというか、何かが、リボンを伝って、感じられる!
「これが幸せのカケラか〜!当たるぞ!」
と言いながらリボンをたぐると、案の定それは2人の元へと繋がっていたのであった。
わーい、わーい。当たった、当たった。けど…
「おめでとうございます!ご予定は?」
と司会の方に聞かれ、その場の雰囲気に流されたまま、
「あるっちゃある!」
と適当に返事をしてしまった…無いっちゃ無い…。

最近のコメント