アンカーは花粉と共に。
地元地区の体育祭に、リレーの選手の助っ人で参加した。
ヒーローは遅れて現れる。
社長出勤した私に用意されていたポジションは、なんと“アンカー”であった…ヒ、ヒーローだもの、もちろん…。
しかしヒーローは、秋晴れと共に襲い来る花粉症の対応だけで精一杯であったのだ。危うし!
小さな頃から運動オンチでボールと友達になんかなれない私は、サッカーもバスケもバレーも、子供の頃だけならともかく、この年になっても大キライなスポーツだ。
だからその代わりか、“ただ走る”“ただ跳ぶ”“ただ泳ぐ”といったスポーツはそれなりに得意で、小学生の頃はリレーの選手なんかにも選ばれていたような記憶がある。
ただ、リレーの選手といってもまるで自分の人生を表すかのような、目立ちもプレッシャーもかからない“学年5位”くらいのポジションを常にキープし、決してアンカーなんかになることはなかった。
そう。だから今日は私のそれなりに長い人生初の、“アンカー”なのである!
リレー自体は男女小学生各学年から、50代→40代→30代→20代とバトンを繋ぐものであったが、小学生ととうちゃんかあちゃん達にまじって運動するのは新鮮であった。
目の前で本気で走り抜きつ抜かれつする子供達、そしてそれを一生懸命応援する子供達も、みんな頼もしかった。
一方の私を含めた大人達は、本音トーク。
「転ばないように、しなきゃね!」
「接戦でバトン渡されるのだけは避けたいですね!」
「ぶっちぎり1位か、ぶっちぎりビリがいいですね!」
「あの子速いよ!差が縮まっちゃう!」
「…うわ〜!ウチの子抜いちゃった!」
バトンを繋いでくる子供達に一喜一憂。
そしてバトンは、1位で、しかも2位とデッドヒートのまま、大人達へ廻ってきた!プレッシャァァァー!
定まらないレースの行く末をハラハラドキドキ見守っていると…我がチームのおっちゃんがコケた!だいじょびかーっ!?
そして後続に抜かされ一気に順位が3位に!
その時、大人達を、複雑な感情が包み込んだ…。
結局バトンは私の元へ、2位にも4位にも差の付いた状態で廻ってきた。
「コケロー!」
という他チームの心無い子供達の声にもめげず、その時、私は、風になった…うそ。
…思っていたよりも足が廻らない。
全力で地を蹴っているつもりなのにフワフワ、フワフワして、まるで自分の足が自分の足では無いようなカンジ。
「あぁ、さっきのおっちゃんはこの感覚のまま転んだんだな。」
と走りながら理解してしまったのだ。
そりゃそうだよなぁ、日常生活で全力疾走することなんて、ないもの。
とにかくなんとか無事にゴールし、結果は3位。
“何も起こさない”まさに私らしいアンカー仕事であった。
競技が終わって目を見張ったのは、小学生達が転んでしまったおっちゃんを責めずに、
「がんばった!」
と、言っていたことだった。
正直、大人達のほうが文句を言っていた。
ブツクサブツクサ…。
子供達はこうして行事を通じて成長し、こうして大人になって醜くなっていくのだなぁと改めて思いながら、参加賞の“蛍光ペン7色セット”を片手に、パンパンになった腿を引きずり帰路についたのであった。
ちなみに鼻水はズルズルであった…。
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