選挙公示と広島6区で盛り上がるローカルニュースを見ながら起きる。
広島も3日目ともなると、慣れたものだ。
広島港行きの路面電車に乗って、「原爆ドーム前へ…。」なんて会話をしている家族連れに、
「そこのパパ…あなた…間違っていますよ。」
なんて諭したくもなるくらいである。
最終日の今日は、列車の時間ギリギリまで街中をグルグル…。
広島の若者はどこで遊ぶのだろうかと思いを巡らせながら、古着屋さんに行ったり、本屋さんで横浜には無い本を探したり。
そうそう、広島って、下着屋さんが多い気がした。なぜだろう…。
駅から近い的場町は、洋服問屋の集まる、古くて小さな一角。
店の半分はシャッターが下りていて、少し寂し気なところ。
そんな的場町に、若いデザイナー・クリエイターのお店が、数店あった。
自分の好きなことがそのまま色に表れているそのお店達は、まるで無彩色の紙の上にポトリと落とした原色のインクのように、小さいながらもとてもキレイで個性的で、目立っていた。
“bien sur”は洋服、カバン、雑貨のあふれるお店。
地元デザイナーの個性がひしめきあっていた。
ゆっくりお店の中で品定めしていられる落ち着いた雰囲気は、お店だけじゃなくて、ご主人の丁寧な接客のおかげだろう。
“LIME.antinna shop”はオリジナル家具のお店。
東京には絶対無い、かわいくて、でも快適のために工夫されたオリジナリティあふれた家具。
家具屋さんで、家具を見ながら触りながら、それをつくった人の話を聞く…というのは、ありそうで無いことだ。
実際にお店で話をさせてもらって、デザイナーさんのこだわりやその思いがわかると、それは同じものでもずっと価値の高いものになると感じた。
的場町のちょうど交差点のところに、まだオープン前で扉の閉まっている小さな雑貨屋さんがあった。
その名も“木村兄弟雑貨店”。
ショーウィンドウにはアナログな電話帳やホチキス、懐かしく暖かい文房具が並んでいて、文房具好きなのでつい見とれていると…中で準備をしていたご主人がお店を開けてくれて、まだオープン1ヵ月前なのにお店の中へ通してくれた。
まだ陳列もされきっていない店内は、他にもオリジナルのアクセサリーやヨーロッパの古いピンズなどで…まるで宝石箱のようだった。
何でも、ご主人は一念発起して独立したばかり。
これから、雑貨屋さんのオーナーとしてデビューするのだそうだ。
今はまだひっそりとしている店内だけれど、これからオープンして、いよいよこの宝石箱が開くぞという…何か希望にあふれた、穏やかさの中の高揚感をそこに感じて、私までドキドキしてしまった。
横浜からの観光客であることを告げると、せっかくだからと値段の決まっていなかった陳列しかけのピンズを売ってくれた。
いわば初めてのお客さんにしてくれたのである。
とても光栄で、嬉しかった。
自分と同じくらいの年代(目測だが)の人がこうしてがんばっているという目の前の現実が、自分もジャンルは違えど同じような職業の立場から見て、とても励みになった。
広島という遠い土地で、こんなことに出会えると思ってもいなかったので感激し、お店を出る時に、
「『ありがとう』って言ったっけ?」
「『がんばって』って言ったっけ?」
と覚えておらず後悔するほどなのである。
ありがとう、がんばれ、的場町。
ありがとう、がんばれ、“木村兄弟雑貨店”!
そしてありがとう広島。
帰りの列車では、お弁当を買うのを忘れ、もみじ饅頭を食べながら帰路についた。
お土産じゃなくなっちゃったよ!
〈本日訪れたところ〉
○ラーメン道八丁
「広島ラーメンって、どんなラーメン?」
…今だにわからない(誰か教えてください)。
佐野実の指導を受けたというラーメン屋さん。
“塩ネギラーメン”(700円)を食べた。
そういえば…かつて会社の近くに同じく「ラーメン道」ラーメン屋があったが…それよりおいしかった。
○bien sur
アミダくじ勝負に負けて、ウチの姉さんにハンドメイドのバッグをプレゼント(羽目に)。
ネクタイの生地や風呂敷の生地でつくられた、リバーシブルの和風バッグだった。
…自分のものにしたいくらいであった。
○LIME.antinna shop
ここと“bien sur”は、建物2階と3階のお隣…いや“お上下さん”なのだ。
○木村兄弟雑貨店
気になるそのお店の由来…。
9月25日オープン予定。
○にしき堂
星の数ほどあるもみじ饅頭のお店…どこがイチバンおいしいのー!?

最近のコメント